研究プロジェクト

科学研究費助成事業(基盤研究(A))2021-2025年度
「中国の改革開放萌芽期の再検討:メディア空間からみた旧東欧との分岐」

<メンバー>

代表者

  • 中村元哉(東京大学准教授→教授)

分担者

  • 家永真幸(東京女子大学准教授→教授)
  • 石川禎浩(京都大学教授)
  • 加茂具樹(慶應義塾大学教授)
  • 村田雄二郎(同志社大学教授)
  • 吉見崇(東京経済大学講師→准教授)
  • 網谷龍介(津田塾大学教授)
  • 中田瑞穂(明治学院大学教授)
  • 松戸清裕(北海学園大学教授)
  • Irina Holca(東京大学准教授→東京外国語大学准教授)

<研究目的>

本研究は、1970年代後半から1980年代の改革開放萌芽期の中国が新型のデモクラシー(「人民民主主義」)をめぐって制度や思想をどのように変化させようとしたのかを、史資料が豊富に存在するメディア空間から解明する。改革開放萌芽期は大国化した現代中国を形作った重要な歴史的転換点である。この時期に「人民民主主義」を実質化させる「社会主義的民主主義」が模索され、その時代状況のなかでメディア空間が拡大して、現在にまで至るダイナミックな議論が誘発された。本研究の独創性は、改革開放萌芽期の中国を20世紀中国史という歴史的な深み、東アジア史という地理的な広がり、ソ連・旧東欧・西欧の理念・体制との比較史という理念的かつ体制論的な高みから分析することにある。あわせて、研究成果の日中英三言語による発信と史料のデジタル化にも取り組む。

<主要な活動>
 *史料検討会:開催中・全26回(2020.10~現在)
 *社会(高校)への情報発信:実践中・全11回(2022.6/2022.7/2022.7/2022.9/2022.10/2023.2/2023.5/2023.9/2023.9/2024.8予定/2024.9予定)

研究会:第1回(2021.5)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 活動方針の決定
  • 中村元哉「日本の中国近現代史研究の動向」
  • 網谷龍介「デモクラシーの青写真・現実・『モデル』」

研究会:第2回(2021.8)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 松戸清裕「ソ連政治史について――『ソ連という実験:国家が管理する民主主義は可能か』をめぐって」
  • 加茂具樹「現代中国政治について――人民代表大会および中国人民政治協商会議をめぐって」

共催企画:国際シンポジウム(2021.12)@東洋文庫+オンライン開催

  • 国際ワークショップ「第10回中国当代史」 *中国語

研究会:第3回(2022.3)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 中田瑞穂「東欧諸国における社会主義をめぐる議論――チェコスロバキアを事例に」
  • Irina Holca「共産主義政権下のルーマニアにおける日本像、そして中国像」

研究会:第4回(2022.5)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 中国のソ連・旧東欧観の検討(その1)

共催企画:シンポジウム(2022.7)@東京大学+オンライン開催

  • 中国社会文化学会2022年度大会シンポジウム「近代メディアと中国社会」

研究会:第5回(2022.8)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 中国のソ連・旧東欧観の検討(その2)

共催企画:国際シンポジウム(2022.8)@東洋文庫+東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 冷戦下における日本と中華圏の人物交流史(第2回) *中国語

国際交流:カンディラロフ氏〔ソフィア大学〕を囲む会(2022.11)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • Evgeniy Kandilarov(ソフィア大学), Chinese reforms under Deng Xiaoping and their possible influence and impact
    on Bulgarian economic reforms during 1980s of the 20th century(旧東欧諸国の中ソ観――ブルガリアは改革開放とペレストロイカをどう観ていたのか) *英語

研究成果:日本現代中国学会『現代中国 別冊』(2022.12)

  • 学会創立70周年記念特別分科会「大きく変化する中国をどう研究するのか」

研究会:第6回(2022.12)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 中国のソ連・旧東欧観の検討(その3)

研究会:第7回(2023.4)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催

  • 最新の研究動向の検討:Gewirtz, Julian, Never Turn Back:China and the Forbidden History of the 1980s, Belknap Press, 2022/呉国光〔加茂具樹訳〕『権力の劇場――中国共産党大会の制度と運用』中央公論新社、2023

主催企画:国際交流(2023.6)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催   

  • 新しい近現代中国の学術交流会(第3回) *中国語

研究会:第8回(2023.8)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催   

  • 中国のソ連・旧東欧観の検討(その4)
  • 金子肇(広島大学) 「近現代中国における国会制度の展開と変容」

共催企画:国際交流(2023.9)@東洋文庫   

  • 新しい近現代中国の学術交流会(第4回) *中国語

共催企画:国際交流(2023.11)@ケンブリッジ大学   

  • 中村元哉(東京大学), New Developments in the Study of Modern Chinese History in Japan: Research on the History of Reform and the era of Opening-Up *英語
  • 横山雄大(東京大学・院), The Development of Chinese Marine Fisheries and Sino-Japanese Relations during the 1970s and the First Half of the 1980s *英語  

研究会:第9回(2023.11)@東京大学駒場キャンパス18号館   

  • 呉国光氏(スタンフォード大学)講演会 *中国語

研究会:第10回(2024.1)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催   

  • 李暁東(島根県立大学)「「権威」と民主主義の間」  

懇談会:国際交流(2024.2)@慶應義塾大学三田キャンパス   

  • 鍾延麟(政治大学)「鄧小平研究をめぐって」 *中国語

研究会:第11回(2024.4)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催  

  • 中村元哉(東京大学)「中国近現代史のなかの改革開放史」
  • 加茂具樹(慶應義塾大学)「継承と断絶――社会協商対話制度の提起とその構想の具体化」
  • 比護遥(日本学術振興会PD)「意思決定の科学化――継承された政治制度改革を支えた学知」
  • 林果顕(政治大学)「1980年代の香港における華僑メディアとその改革開放に対する報道」  *中国語

懇談会:国際交流(2024.5)@東京大学駒場キャンパス18号館   

  • 薛化元(政治大学)「戦後台湾の人権史」 *中国語

共催企画:国際交流(2024.6)@東洋文庫   

  • 新しい近現代中国の学術交流会(第5回) *中国語

研究会:第12回(2024.7)@東京大学駒場キャンパス18号館+オンライン開催  

  • 河合玲佳(東京大学・院)
  • 横山雄大(東京大学・院)
  • 新田順一(慶應義塾大学・院)

<主要な成果>

  • 中村元哉編『改革開放萌芽期の中国――ソ連観と東欧観から読み解く』(晃洋書房、2023年)

第49回三菱財団人文科学研究助成2021年1-12月
「冷戦期の中国・香港・台湾におけるナショナリズムとリベラリズム――1970~1980年代を中心に」 

<メンバー>

代表者

  • 中村元哉(東京大学准教授)

<研究目的>

本研究は、20世紀前半の中華民国史の政治思想の展開が冷戦期の中国・香港・台湾のナショナリズムとリベラリズムの変容にどのような影響を及ぼしているのかを考察し、21世紀の「両岸三地」を展望するものである。

<主要な活動>

第1回研究活動(2021.3)@東洋文庫

  • 史料調査:東洋文庫

第2回研究活動(2021.5)@オンライン開催

  • 国際ワークショップ「近現代中国・台湾をめぐる政治思想史研究の現在」(東洋文庫、2021年5月)〔オンライン開催〕 *合同主催

第3回研究活動(2021.9)@オンライン開催

  • 日中関係論壇「中国の若手・中堅研究者との交流会:歴史学編」(2021年9月)〔オンライン開催〕 *共催

第4回研究活動(2021.9)@オンライン開催

  • 国際シンポジウム「冷戦下における日本と中華圏の人物交流史」(東洋文庫、2021年9月)〔オンライン開催〕 *共催

科学研究費助成事業(基盤研究(C))2017-2020年度
「中華圏におけるナショナリズムとリベラリズム――連鎖する大陸中国・台湾・香港」

<メンバー>

代表者

  • 中村元哉(津田塾大学教授→東京大学准教授)

<研究目的>

本研究は、20世紀前半に中国(民国)で生成し発展したナショナリズムとリベラリズムが20世紀後半に大陸中国(人民共和国)・台湾(民国)・香港(イギリス)に広がった後、各地域でそれぞれどのような展開をみせ、それが三者の関係にどのような影響を及ぼしたのかを、冷戦下の1970年代を中心に考察する。1970年代に焦点をあてる理由は、この三地域が、20世紀前半までの歴史的展開と戦後の冷戦の影響をうけながらも、新たな世代の出現などによって、それぞれに独自のアイデンティティを育むことになり、そうした状況下で中華圏のナショナリズムとリベラリズムの均衡ないしは選択を新たに問い直し、現在の関係性の原型を出現させたからである。

<主要な活動>

第1回研究活動(2017.7)@香港

  • 史料調査:香港大学、香港歴史档案館など

第2回研究活動(2018.3)@台北・香港

  • 史料調査:国史館、党史館、香港大学、香港中文大学(香港文学特蔵)、浸会大学(友聯コレクション)など
  • 聞き取り調査:周栄佳先生(浸会大学)

第3回研究活動(2018.4)@香港城市大学

  • 研究報告

第4回研究活動(2018.6)@香港

  • 聞き取り調査:李金強先生(浸会大学)

第5回研究活動(2018.11)@政治大学

  • 史料調査:国史館など
  • 研究報告

第6回研究活動(2018.11)@中山大学

  • 研究報告

第7回研究活動(2019.7)@中央研究院

  • 研究報告

第8回研究活動(2019.11)@愛知県立大学

  • 研究報告

第9回研究活動(2020.3)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 研究報告

第10回研究活動(2020.10)@オンライン開催

  • 研究交流:孫揚先生(南京大学)

第11回研究活動(2020.11)@オンライン開催

  • 情報提供:鄭成先生(早稲田大学)  

<主要な成果>

  • 中村元哉『中国、香港、台湾におけるリベラリズムの系譜』(有志舎、2018年)

科学研究費助成事業(基盤研究(B))2013-2016年度
「社会主義中国の憲政論・憲政体制を再考する――20世紀中国憲政史の視角から」

<メンバー>

代表者

  • 中村元哉(津田塾大学教授)

分担者

  • 小野寺史郎(京都大学助教→埼玉大学准教授)
  • 加茂具樹(慶應大学教授)
  • 久保亨(信州大学教授)
  • 水羽信男(広島大学教授)
  • 村田雄二郎(東京大学教授)

<研究目的>

現代中国が直面している深刻な政治課題は「自由・人権・民主・憲政」をめぐる諸問題である。この広義の意味での憲政問題は、政治学の手法を用いて現代中国を解明しようとする研究者たちによって、しばしば注目されてきた。

しかし、この問題に対する政治学のアプローチには限界がある。なぜなら、現代中国の憲政問題は、20世紀初頭以来の豊かな憲政論の展開と幾多の憲政体制改革の実践を経て浮上してきた、いわば20世紀中国憲政史上の延長に位置する政治課題だからである。したがって、20世紀中国という時間軸から現代中国の憲政問題を読み解き、新たな現代中国像を提示することこそが必要である。

その際に、20世紀前半と現代とを接続する社会主義中国(1950-1970年代)の憲政論・憲政体制を、近現代中国の三大思想潮流――ナショナリズム(国家・民族主 義)・自由主義・社会主義――を踏まえながら、全面的に再考しなければならない。また、清末・民国期の憲政論・憲政体制が戦後の台湾と香港にどのように継承されたのかという視角から、社会主義中国を複眼視することも重要である。

本科研は、これらの研究課題に取り組む。

<主要な活動>

第1回中国憲政研究会(2013.5.6)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 活動方針の決定

第2回中国憲政研究会(2013.8.26)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 報告者:村田雄二郎「民国初年の憲政体制」
  • 報告者:中村元哉「社会主義中国(1950-70年代)の国際法学とケルゼン学説の受容――ソ連国際法の影響力を再考する」

第3回中国憲政研究会(2013.11.16)@京都大学

  • 報告者:王貴松(中国人民大学)「中国近代法学教育的脉絡与伝承」

第4回中国憲政研究会(2014.3.26)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 報告者:潘光哲(中央研究院)「「世界史地」與「国際法」知識和近代東亜「地理想像」的生産、流通與嬗変――回顧與思考」

第5回中国憲政研究会(2014.8.2)@東洋文庫

  • 報告者:水羽信男「第1回全国人民代表大会と中国民主建国会」

第6回中国憲政研究会(2015.1.10)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 中村元哉「戦後香港における憲政論の背景――1950年代から1970年代を中心に」

第7回中国憲政研究会(2014.1.31)@東京大学本郷キャンパス法文1号館

  • 報告者:小野寺史郎「清末民初のミリタリズムとその課題」

第8回中国憲政研究会〔国際Workshop〕(2015.3.14)@香港樹仁大学本部棟

  • 報告者:區志堅(香港樹仁大学)「香港為中心的跨區域表述──五十年代《自由陣綫》批評國共及歐美政策的言論」
  • 報告者:加茂具樹「全國人民代表大會的政治機能與其可能性」

第9回中国憲政研究会(2015.4.18)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 報告者:中村元哉「中台分断のなかの戦後香港政治思想――1950年代から1970年代を中心に」

第10回中国憲政研究会〔国際会議〕(2015.7.25)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 報告者:……→詳細は中村元哉編『憲政から見た現代中国』(東京大学出版会、2018年)を参照

第11回中国憲政研究会(2016.4.23)@東洋文庫

  • 論文集『憲政から見た現代中国』の打ち合わせ

第12回中国憲政研究会(2016.7.31)@東京大学駒場キャンパス18号館

  • 論文集『憲政から見た現代中国』の打ち合わせ

<主要な成果>

  • 中村元哉編『憲政から見た現代中国』(東京大学出版会、2018年)